【完】君しか見えない



微笑みながら楓くんの様子を見つめていた私は、ふと、テーブルの上のあるものに気づいた。



「これってもしかして、中学の卒アル?」



テーブルの端に教材と一緒に積まれているものの、堅苦しい表紙の教材の中で一際存在感を放つ、淡い紫色の冊子。



「あー、そう。
この前、黒瀬が遊びに来た時、いろいろ話のネタにしてたんだよな」



「へぇ〜。ね、見てもいい?」



「どーぞ」



私が卒業アルバムを開くと、楓くんは再びハヤシライスを食べ始めた。