鍋の中でハヤシライスを煮込み始めたところで、私は小窓からリビングで勉強をしている楓くんの様子をそっと盗み見た。
こちらに体を向けて椅子に座っているから、その姿はばっちり見える。
勉強中はメガネを掛けるとこも、考え込む時ペン回しをするとこも、変わらない。
楓くんの眼鏡姿は、レア中のレアだ。
自宅にいる時、しかも勉強中にしか掛けないから、この姿を知っているのはごく限られた人だけ。
なんでも、四六時中眼鏡をかけるほどの視力の悪さではないから、お守り程度に作ったのだそう。
眼鏡だって似合っちゃうんだから、ほんとずるいよなぁ。
楓くんが首を傾けると、ミルクティー色の髪から白い首が露わになった。
首から鎖骨へのラインが、とてつもなくセクシーで。
なんだか急にいけないものを見ているような気になって、私は慌ててお鍋に視線を落とす。
いけないいけない!
私のすけべ!


