そんな私の様子なんてつゆ知らず、楓くんはふと肩越しに振り返り、問うてきた。
「おまえさぁ、冬休み、俺とばっかりいていいのかよ」
「え?」
「家族と出掛けたり、友達と遊んだりしねーのかなって」
「だ、大丈夫!
家族とも友達とも出掛けたりしないから」
「ふーん」
それからも楓くんはちょこちょこ話しかけてくれたけど、私は空回って変な返事ばかりしてしまった。
私のせいで成り立たないちぐはぐな会話をしていると、家の近くの路地前まで来た。
「じゃーな」
いつもそうしているからか、ここで別れることが習慣づき、今日もここでお別れだ。
「う、うん。また明日……」