そして、その端正な顔がこちらに向けられる。
「つーかさ、雷苦手なのに、なんで今日誘ったわけ?」
「それは……」
話すか話さないかずつと迷っていたことを突然訊かれ、思わずどきりとする。
口ごもり、でもやっぱり正直に話そうと、一呼吸置いてから再び口を開いた。
「実はね、私たち、昔ここに来たことがあるんだよ」
「あ……」
なにかを思い出したように見開かれる楓くんの瞳を、私は躊躇いがちに、でもまっすぐに見つめる。
「おばさんがいなくなった時、楓くんずっと落ち込んでたでしょ?
でも私はどうにか元気になってほしくて、お母さんに頼んで、この点灯式に無理やり楓くんを連れてきたんだよね。
そしたら、ずっと元気なかった楓くんが、点灯式を見て、目をキラキラさせて笑ったの」