時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

2人で走っているうちに近くの公園に来た。

「待ってよ!有希っ、ちゃん!」

「来ないで」

すごい形相で睨みつけられる

すると急に。

「冬華はいいよね。可愛くていっつもチヤホヤされて」

なにそれ、僻み?

なにが言いたいの?

「私の気持ちなんてわかんないでしょ!」

「わかるっ!」

「振られたこともないあんたにわかるわけないじゃん!」

「恋の痛みならっ、よく分かるよ!」

勝手に涙が頬を伝っていた。

本当にそう思った。

「よく分かる。

わかる、辛いし、心が痛いよね。

私は告白したわけじゃないけど、失恋確定してたって思ってたから同じだよ。

叶ちゃんが好きな人が有希ちゃんだって言ってたのはほんとで…黙っててごめんなさい…」

「そんなのっ!」

「有希ちゃんは!なにが言いたいの?」

それじゃ…ただの逆恨みだよ。

「…………告白でもしてこれば?」

ダッと。

捨て台詞のようにいって有希ちゃんは走ってしまった。

…私が全部…いけなかったのかな…?

叶ちゃんの好きな人を、有希ちゃん、と言うことを黙ってた事や…素直に言わなかった事…。

言い訳かもしれない…。

だけど、本気で叶ちゃんが好きだった。気づくのは遅かった、けど…!

気持ちだって十分にあった。

〝幼馴染みの好き〟じゃなくて〝恋愛感情の好き〟だった。

でも…有希ちゃんのことも大好きだった。

すごく根がいい人で、誰にでも優しくて。

かっこいい…そんな人だった。有希ちゃんは。

だからこそ…「私も叶ちゃんのことが好きなの。嘘ついてごめん」なんて言えなかった。

ただ単に、嫌われたくなかった。

その一心だったけど…言わなかったせいで…嫌われちゃった…!

私は…どうしたら…何をしたら…いいんだろう…。

そんなことが頭をぐるぐると回り、ポツンと1人涙を流すことしかできなかった。

そして公園の砂の上に涙がたくさん落ちて、茶色の濃いシミを作っていった。