「とーちゃくっ!」

早かっただろ?と満面の笑みで聞いて来る。

…なんか、心臓の音早くないかな…。

ちょっと…不思議なカンジ…。

今までに感じたことのないことで何だろうと疑問に思う私。

「あー、冬華いたいた!」

朝から、変わらず元気な声で私の名前を呼ぶ。

その声の主は…市下有希ちゃん。

有希ちゃんは、中学校からの仲良しで私が部活の先輩からいじめを受けていた時に助けてくれた。

正義感が強くてかっこいい女の子。

「おはよう!」

私が挨拶すると、キラキラとした顔でこう言ってきた。

「アタシたち3人おんなじクラスだよ!1年5組!」

「有希ちゃん!ホント!?」

「ホントホント」

2人でキャッキャッと盛り上がりワーワーやっていると…楽しい空気に水をさす人がいた。

「うげっ。市下もかよ…」

叶ちゃんだ。

叶ちゃんはボソッと言ったつもりだろうけども…丸聞こえだよ。叶ちゃん。

「あらー。東くん…それはどういう意味なのかなー」

きっとわざと優しい口調と笑顔にしているんだろうけど…逆に怖い…。だって、笑みが黒い…。

「いいいい、意味なんてねーよ!」

あ、適当に言ったね…。

おまけに走って逃げちゃったし。

確かに…怖いからわからなくもない。

と、チョット同情した私だった…。