時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

「あれ、叶翔は?いつも一緒なのに…ケンカでもした?」

「ううん。あのね…叶ちゃんが倒れて…病院で入院してるの」

「えっ。嘘でしょ」

「ほんとなの」

そう有希ちゃんに尋ねられて答えてしまった。

言わない方がいいのかなって思ったけど…ウソをつくのは得意じゃないし、嫌いだから。

「叶翔、大丈夫かなぁ」

すごくすごく心配そうな顔をする有希ちゃん。

…こんな顔見たことないな。

「お見舞い行った方がいいよね…」

有希ちゃん?

有希ちゃんは今までのお見舞い行った方がいいよねなんて言わなかった。

「お見舞いなんてなんか珍しいね?」

「う、うん」

若干?

頰を赤くしたのは幻覚かな。

「…うん。冬華だから言うね。私さ…叶翔のこと好きみたいなの」

チクン…チクン。

有希ちゃんが叶ちゃんを好き?

「親友だもん…応援してくれる?」

チクン。

〝いいよ〟って素直に言えないよ。

なんでなんだろう。

私と叶ちゃんはただの幼馴染なのに。

もし有希ちゃんと叶ちゃんが恋人になって、手を繋いで、キスして…って考えたらすごく…胸が痛い。

私…どうしちゃったの?

「おーい、冬華!応援…してくれる?」

「いい…よ」

悶々と悩むぐらいなら…と言ってしまった。

でも…言うんじゃなかったって思ってる自分がいる。

なんでよ…なんでこんな風なの?

この感情は…何?