ガタイのいい人たちが並ぶと、迫力満点。

ーーヒュンッ

そんな音がして、私の顔の横に1人の拳が飛ぶ。

でも、余裕。

こんなの屁でもない。

あ、懐、ガラ空きじゃない。

ーーメリッ

どさっと膝から崩れ落ちる不良。

だって懐に私のキックをお見舞いしてあげたから。

これぐらい…大丈夫。

空手なんて久しぶりだけど…こっちは黒帯を持っているのよ。

全然、負けないよ。

「リーダーッ!?」

急にうろたえ出す、不良たちそして、唖然とする佐川さん。

「クソォ!」

そのうちの1人の仲間が、殴りかかってくるけど、避ける。

ーーヒューヒュー

そう、私の器官から聞こえてくる。

あ…しまった。避けて余計な動きが混ざっていたから…!

動きすぎたみたいっ…!

喘息のことをすっかりと言っていいほど忘れていた。

完全に苦しくなるまでの期限は短いなぁ。

「ハアッ!」

正拳突き上段をお見舞いする。

よかったな。正拳突き上段を一発お見舞いしただけで倒れてくれて。

ーーヒューヒューヒュー

「ゲホ…ゲホッ…」

やばいよ。

咳まで出始めちゃった。

ーーヒュンッ!

私は気づかなかった。

不良がバットを持っていたことに。

ーーズキンッッ!

バットで殴られたみたいで意識が遠のく。

その最後…〝桃花ァッ!〟そう聞こえたのは…幻だろうか。

ーープツリッ

私の意識はそこで途絶えてしまった。