時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

ーーズキッ

忘れた頃にやってくる頭痛。

またその裏で〝冬華〟さんそっくりの女性が脳裏をよぎる。

ーーズキッ

その瞬間に、〝パパッーーーーーーーーーーーー〟とけたましいクラクションが頭の中で鳴り響く。

うるさすぎる、鼓膜が破れてしまいそうなほど。

ーーズキッ

ドンッと鈍い音が聞こえたように思えるけど、現実じゃない。

ーーズキッ

その瞬間に血まみれの〝冬華〟さんにそっくりな女性が横たわる映像が脳裏をよぎる。

待ってよ、待って。

この瞬間を…どこかで…みた気がする。

いや、〝体験した〟って言った方が正しい。

この恐怖感、焦り、苦しさ、悲しさ…そう。どこかで…。

ーーズキンッ‼︎

最大級に痛くなった瞬間にたくさんの映像が駆け巡っていた。

『叶ちゃん!』

『冬華!』

そう幸せそうに名を呼び会う2人。

『叶ちゃんなんて。大嫌い!』

『こっちも嫌いだよ!』

そう喧嘩している2人。

『叶ちゃん、ごめんね』

『俺も悪かった…』

そう仲直りをしてすごく幸せそうな2人。

『叶ちゃん、〝約束〟絶対守るね!』

『…っ…ああ!当たり前だよ!』

幸せそうな女性と裏腹に悲しそうな笑みを浮かべた男性。

『叶ちゃんっ』

『叶ちゃん‼︎』

『ーーーー叶ちゃん』

…そうだ。

全部、全部…体験した。

全部、全部の時間が幸せだった。

〝感情〟がたくさん働いていた。

喜び、悲しみ、愛、怒り、恋、焦り、愁えり…たくさんたくさん、小さな小さなことでも幸せだった。

マイナスな感情でも、叶ちゃんといれば…幸せだったんだ、〝冬華〟さんは。

じゃあ、〝今の〟私はどうなんだろう。

最近は…と思いこの数日間を思い出してみる。

〝東さんは何してるかな〟

〝休日なのかな〟

〝彼女とかいたら…やだなぁ〟

〝アドレスとかLINE交換したいなぁ〟

そればかり思っていた気がする。

そっか…前も体験した。

この幸せな気持ちは、切ない気持ちは…〝恋〟だったんだね。

そっか、そっかぁ…私は…東さんが好きなんだ。