時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

「それで…あなたに…桃花ちゃんにお願いがあるわ」

すがるような目で私を見つめる目をしていると言うことは本気でそう思ってお願いしてくるのかな。

「叶ちゃんを…幸せにして…っ…」

だんだんと目に涙を溜めていく冬華さん。

「〝叶ちゃん〟って…誰ですか…?」

「ああ…ごめんね…っ…東 叶翔よ…」

ーードキン、ドキン、ドキン。

その名を聞くだけで胸が高鳴る。

「私は…最愛の人を、叶ちゃんを、置いて来てしまった。たくさんたくさん、悲しませてしまった。本気の〝約束〟も守れなかった。大好きだったのに。私の事故のせいで…たくさんの時間を、本当の時間を…奪ってしまったの…!」

どんどん、溢れ出る涙はとどまることを知らずにヒートアップする。

何が…あったんだろう。

私には計り知れないぐらいの…苦しさ、悲しさがあったのかな。

「だから…幸せにして…あなたの状態では無理ってわかっているわ。だから、1つ。魔法をあげる。よく考えて使ってちょうだい…っ…。私の代わりに。叶ちゃんを、私の最愛の人を幸せにして。お願いよ……」

「でも…幸せにするって…どうやって…」

冬華さんにつられて泣きそうになる。

女優が嘘くさい涙で演技してるような涙じゃない。

本当の悲しい、後悔の念が詰まった涙。

「桃花ちゃんは…わかってるはずだよ。この気持ちが…」

だんだんと視界がぼやっとしてくる。

何事だと思っていると、瞼が自然と降りてくる。

やだ…まだこの言葉の続きを聞きたいの。

この気持ちはなんなの。

「こーーーーーことに。わーーー代わりにーーーーね。がんーーー」

その言葉を最後に…瞼は降り切ってしまった。