時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

「そういや、気になったんだけど…その制服って…」

「えあ…。美扇高等女子学園です…けど…?」

「ええぇぇ!ちょーお嬢様学校じゃん!」

そんなに…驚く…?

「お父様に…無理矢理…ですけど…ね」

「へぇ…。大変だね」

「まぁ…はい」

微妙な空気が流れる。

この空気は苦手だけど 、東さんとなら、苦しくない。

まるで…昔から知っていたなかのような…。

「そういや、部活は?」

部活…か。

「合唱部です」

最近楽しくて、ピアノも弾けるし…満足の域だと思う。

お父様に言わせれば「もっと頑張れ。人の頂点に立て」そう言うであろう。

「がっ…しょ…う…」

驚いたようにしているけど〝合唱〟その言葉をまるで一言一言噛み締めているようだった。

「そっーーーだ。ーーーー華じゃねぇか」

懐かしい顔をしていたけどすぐにその幸せそうな顔は曇る。

「えっと…東さん?」

「あ…何でもない。そういや、女子学園なんだね。美扇学園て」

さっき呟いたことをなかったことにしたように笑いかけてくる。

でも、その笑みは〝仮面〟だった。

まるで、辛いような気持ちを押し込めているようだった。

「ええ。でも、来月から共学に変わるそうです」

「へえ。いいんじゃない?」

ーーズキン。

「そう…ですね。学園名が美扇女子高等学園から、美扇高等学校になるらしいんですよ」

まるで東さんに突き放されたみたいで心が痛い。

いや、本当にそうなのかな?

他の感情が入り混じっているのでは…そう思うと真っ先に思いついた感情は〝恋〟だった。

いやいや。ありえないし。年の差すごいから、そう思いその気持ちを振り払った。

「…でも…北岡くんも来るんです…」

「婚約者の…」

「北岡…翡翠さんです。」

北岡さんじゃなくて、東さんが婚約者だったら…いいのに…って!

私は何を考えているの?

「そっか…とりあえず…帰りなよ。もう…遅い」

「はい…」

ああ…また…〝良い子〟に戻らなきゃな…。

そう思って家路に着いた。