時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

会場に入って数時間が経った頃…。

『ではーーーー…今日は、桃花お嬢様の誕生パーティーと、婚約者 の発表です!』

そう司会者が言ってあたりは割れんばかりの拍手を送ってくれる。

全く、嬉しくない。むしろ、気分が沈む。

『桃花お嬢様のご登場です。拍手でお出迎え下さい!』

ノロノロと舞台に上がる。

『そして、婚約者のーーーー…』

少し間を置く。

早くしてよ。

そう思って私は苛立っていた。

『北岡 翡翠 さんです!』(きたおか ひすい)

そう言って、結城くんほどじゃないけどかっこいい男の子が出てきた。

長身で、栗色の綺麗な髪はサラサラ。モデルにいそうな…そんな顔だった。

でも…ひすいって、変わった名前だな…。

『ボク、5月生まれなんだ。だから〝翡翠〟って名前だよ。よろしくね。桃花ちゃん』

そう言って、にこりと微笑む。

『…………よろしく……』

私が冷たく接してもニコニコしている北岡くん。

でも…婚約者なんて、やだ。

どうせ〝せいりゃくけっこん〟ってものでしょう?

親同士が利益を考えて、させるものでしょう?

私はーーーー別に…お父様のお力になるために生まれてきたわけじゃないのにな…。

そう思って悲しくなってきてしまった。