「なんだこれはっ!」

そう言ったお父様の顔は怒りで震えている。

ーーバンッッ!

ーーカチャンッ

とお父様は特注のローテーブルを叩く。その反動でお父様専用のティーカップに入っている紅茶が特注のカーペットに薄茶色のシミを作っていく。

「なんなんだッ!この順位は、きちんと勉強したのかっ‼︎こんなものありえない‼︎こんなダメダメな結果で許されれとでも思ってんのかッ‼︎‼︎」

やっと私の方を向いたかと思うと、怒鳴り散らしていくお父様。

こんなの慣れっこ。だけど…やっぱりいい気はしない…。

「きちんと将来のため、勉強に集中しろ‼︎お前は俺の会社の後継のため産んだんだっ‼︎」

ーープチンッ…

そんな音を立ててどこかの線が切れたみたい。

それはーーーー

きっと怒りの線。

〝お前は俺の会社の後継のため産んだんだ〟?

馬鹿らしい。というか笑わせないで。私は…ものでもない。機械でもない。たった1人の…人よ。人権だってあるわ。自由に生きる権利があるじゃない。

「お父様…。わたくしはお父様のためにうまれて来たのでしょうか」

普通自分の中での一人称は〝わたし〟だけれどお父様の前では〝わたくし〟出ないとならない。

「そうに決まっているだろうっ‼︎」

ーーガラガラガラッ…。

そんな音を立てて心の中で〝涙〟〝怒り〟の堤防が壊れる。

こんなにいとも簡単に壊れてしまうんだなあと思いながら。

「わたくしはお父様のためには生きていません。失礼します…」

反抗してはいけない、そんなはずだったのに…。私ってすごく馬鹿。

そう思って家を飛び出す。

行く手もないのに。制服のまま。

もうーーー

家には

帰りたくない

そう思って。