時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

『今日、お父さんと買い物に行ったの。それで、お母さんが運転してた』

きっと…事故のことだ。

知りたい気持ち半分、知りたくない気持ち半分だった。

ーーーーーー知ってしまうのが怖い。きっと知ってしまったら…泣いてしまう。

『帰り道…高速道路を走っていたら、大型トラックが突っ込んで来て…。そのまま…』

『私が…回避できてたら、お父さんだって冬華だって、私だって、苦しい想いしずに済んだのに』

『そう…ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ…』

あれ…待って…?

〝高速道路〟〝大型トラック〟〝事故〟そのワードが頭の中をぐるぐる回っている。

そう、それらは夢の中…で…。

だんだん苦痛そうに歪むお母さんの顏。

『私にせいで、周りが苦しむんだ』

『私さえ、居なければ』

パタパタとお母さんの涙がメモ帳を濡らしていく。

「お母さんのせいじゃない…っ」

このままじゃ、お母さんがおかしくなってしまいそうだったから。

混乱しながらも強く言う。

けど…

『私のせい。やっぱりお母さんの言うとうりだわ。私がいると不幸になる』

「お母さん!私、お母さんのせいじゃないって思うよ!」

ねぇ、お母さん聞いてる?

私“お母さんのせい”だなんて言ってないよ。

言ってないんだよ。

『私さえ居なきゃいいんだよね?お母さん。』

お母さんって私のことお母さんのお母さんだって思ってるの…?

私違うよ。

娘の“冬華”だよ…?

『お母さん!ねぇ、結衣どうすればいい?』

「お母さん!私、お母さん、じゃないよ!冬華だよ!」

ねぇ、お母さんてば…聞いてよ…!

『結衣、死ねばいい?』

「お母さんっ!」

必死に呼びかけるけど、聞こえていないみたい。

昔の自分、に戻りきっているよう。

『疫病神でごめんなさい。あの時、殺してくれてよかったよ』

殺す…?

どう言うことっ?

虐待されていたと言うのは知っていたけど…

〝殺してくれてよかったよ〟て殺されかけたと言うこと?

「お母さん」

聞いて…。

私の声を…。

『お母さん…結衣…今から死ぬから。そしたらまた笑ってくれる…?』

哀しそうに涙を流しながら、無理やりとも思える薄笑いを浮かべるお母さん。

「死んじゃダメ!何いってるの!?」

ねぇ!もしお母さんまで死んじゃったら私はどう…この先は…いきて行けばいいの…?

本当にしっかりして…?

『どんな…死に方がいい?オススメは?』

哀しそうな顔は全く変わらずに、聞いてくる。

まるで、カフェでメニューを見ながら「オススメとかありますか?」と聞くようなノリで聞いてくるお母さんに恐怖を覚える。

お母さん…変だよ…!

「お母さんっ!しっかり…して?」

そう言ってガシッと肩を掴むとハッとした様にして、罰が悪いように目を泳がせるお母さん。

その顔には〝どうしよう。どうしよう〟と書かれていた。

『冬華ごめん。今日帰ってもらってもいい?』

「わかった。じゃあ、またね」

半分慌てながら、泣いているお母さんを1人にして出て行ってしまった。