時間を戻して何度でもあなたの恋人に。

おばあちゃんの電話の内容はこうだった。

「お父さんとお母さんが事故にあって、美扇町…冬華ちゃんの住んでるとこの大きい病院。美扇大病院に行って」

というものだった。

現在、バスで移動中…。

…おばあちゃんの焦り具合だと、危ないカンジなのかな…。

もし…もしも…2人ともっ…亡くなってたらっ…私はどう生きていけばいいの?おばあちゃんは遠いところに住んでるし、親戚も遠いところにいる…。会うのは年に一回。お正月の時におばあちゃんの家に集まる時だけ…。もし…さっき考えていたことが本当に、現実に起きたら…私は…引越しとかしなきゃいけなくなっちゃうのかなぁ…っ?

怖くなって、少し…涙が滲む。

ボヤける世界…ぐちゃぐちゃになってる。

涙が零れ落ちることを防ごうと瞬きをするけどもう目はキャパオーバーみたいだなあ……。一粒、また一粒と零れ落ちる。

私はゴシゴシと制服の袖で涙を拭い取る。

…不安も拭い取る様に。

「美扇大病院前〜、美扇大病院前〜」

アナウンスが車内に響く。

「降りますッ」

慌てて私は降りた。