「ぐすっ、廉くん……っ」
思わず廉くんに抱きつく。
ああ、なんで私、こんなに優しい人振ったんだろう。
こんなに私のこと考えてくれてたのに。
これこそが私が ”理想”としてたものなのに。
廉くんは私を優しく抱きしめ返した。
でも、やっぱり違うの。
私の理想はあくまでも ”理想”であって、
例え廉くんがその”理想”だとしても、
もう吉田しか見えないし、
吉田と一緒にいたい、って思うようになったんだ。
前の私だったら絶対、
今、こういうことが起きるだなんて、
私が吉田を好きになるだなんて
想像もつかないだろうけど。

