「私、廉くんのこと、好きだよ。前から」
静かに私は目を伏せた。
「王子様みたいで、優しくてかっこよくて、気遣いもできて。一緒にいてほんとに楽しかった」
「うん」
「でも、」
「でも……?」
廉くんの瞳は優しかった。
絶対答えを分かってるはずなのに、続きを話すように促してくれて。
「付き合えない、です……ごめんなさいっ」
泣くのは私じゃないはずなのに、
なんで私が泣いてるの?
なんで、私そういうキャラじゃないし……なのに……。
すると廉くんは抱きしめてくれた。
驚きと暖かさと安心感で心がぐちゃぐちゃだ。
「ありがとう、ちゃんと答えてくれて」
「……う、…………ぐすっ」
微笑みながら私の背中を一定のリズムでぽんぽんと叩いてくれる。

