高校2年生の春、始業式。

私が初めてあなたに出会ったのは、

「それでは最後に3年学年団を紹介します。私は…」

そう、3年生の先生発表の時。

自分の学年の発表が終わったから寝ようかな、と顔を伏せた時。
ちょうどその会話が聞こえてきた。

「ねね、あの先生かっこよくない?」
「え、どこー?」
「ほら、あの右からー…5番目の人!」

不意に聞こえてきた会話に、少しだけ私はその先生を見てみたくなってしまった。

(いつもなら眠気に負けて寝ちゃうんだけどなぁ…)

私も新学期が始まって少し浮き足立っていたのかもしれない。
なぜかその日は眠気が襲ってくることはなかった。

そして話をしていた子達に気付かれないように、私はゆっくりと顔を上げた。

(1、2、3、4、5…あっ)
先生を見つけたちょうどその時、自己紹介が始まった。

「今年から新任で務めることになった、3年6組担任の高瀬波(たかせ なみ)です。」
「よろしくお願いします。」

みんなが拍手をする中、
(うわー、なんか自信満々な感じ…しかも話し方ナルシストっぽい…)
思わずそう思ってしまったことを覚えてる。

そして。

何故か高鳴った自分の心臓の音も。