むーんりっと・りゆにおん(仮)



「いまのわたしが、プロの声優だから」
「ああ、なるほど。わかってたのか」
《 ……話が見えん 》

それで俺の方は合点がいったのだが、アルテの方が意味をつかめなかったらしい。尻尾をハテナマークのまま振り回している。

「アルテ、どうしたの?」

それを見て、蒼依が心配そうに俺に訊いた。やはり蒼依には、アルテの〝声〟が聴こえていないらしい。

「いきなり話に割り込んで璃那に質問したが、答えの意味をつかめなくて困ってる」
「なるほどね。アルテには、あたしの言葉は理解出来る?」
「ああ、問題ない」
「だったら、あたしが説明してあげるわ」

そう言うが早いか、蒼依はこちらの返事も待たずにアルテを自分の膝上に座らせて、顔の横に指を立てて、諭すように解説を始めた。
仕方がないので、俺が通訳しよう。

「いい、アルテ? まず、声優っていう職業については知ってる?」
《 それについては問題ない。トキヤから聞いたことがある。役者の一種で、メディアを通して声だけで演技を表現する仕事だと 》
「そう。俳優が、舞台やメディアを通して全身で演技を表現出来るのに対して、声優はメディアを通して声だけで演技を表現するのだけど、決して声だけで演技してるわけじゃないのよ? それに、声優として業界で成功出来る人っていうのは俳優のそれよりずっと少ないの。狭き門なのよ?」
《 非常によくわかった。――だがアオイのやつ、若干キャラが変わったような気がするのは気のせいか?》