「待ちかねたわよ」
「やっと会えたね」
「思ったより元気そうでよかったわ。さ、座って?」
それぞれに声をかけてきた三姉妹に対して俺は、席のそばまで行ったところでなんの前置きもせずにこう告げた。
「今日は、お別れを言いに来たんだ」
その瞬間。三人の表情が固まり、ほぼ同時に、店内の空気が凍りついた。
そこから三秒数えたくらいで空気が緩み、笑顔のまま固まっていた悠紀が眉をぴくりと動かして、短く言った。
「いま、何て?」
「今日は、お別れを言いに来たんだ」
一言一句違わず、口調も変えずに繰り返すと、三人同時の大声が店内に響いた。
「「「なんでっ?!」」」
当然の疑問だろう。
あの告白の日から約五年間、璃那は俺の言葉を信じて、俺が学業を修了するまで待っていてくれた。
ところが、五年目に思わぬアクシデントがあったために、そこからさらに待つことになって、計六年。
今日やっと再会出来たと思ったら、頭ごなしの別離宣言。
驚きのあまり、理由を問い質(ただ)したくなるのは当然だろう。
しかし俺は、それには答えずにこれだけを言った。
「やっと再会出来たのに、いきなりこんな勝手なことを言ってごめん。でも、前から決めていたことなんだ」



