むーんりっと・りゆにおん(仮)



ひと息でそう言い切ったら、



「そんなことない!」



と大声で叫ばれて驚いたが、本音を表に出さないように精一杯気をつけながら、言葉を続けた。



「いいから行きなよ。応援するから。叱咤激励(しったげきれい)もする。弟として」



真っ先に心の中に生まれて喉元まで込み上げていたのとはまったく違う言葉を告げると同時に、自分自身にも言い聞かせていた。

そして、誓いのような約束を告げた。こんな恥ずかしいセリフは、もう二度と言えやしない。



「それに、遠過ぎてダメだって言うのなら、僕が近くに行くよ」



「……え?」
「今は難しいけど……でも約束する。二十歳になる前までには必ず、僕がルナ姉の近くに行く」

もしこのとき第三者が、たとえばアルテがこの場にいたら《 五年も先かよ 》とツッコミが入っただろう。自分でもそう思う。しかし当時の俺からすれば真剣にそう思っていた。そうするより他ないと思い込んでもいた。

嘘偽りない本心を言えば当然、今すぐ引き止めるかすぐに追いかけていくかしたかった。このときでさえ、百八十キロも離れて暮らしているというだけで辛かったのに。告白した途端さらにその距離が何倍にもなるなんてそんな皮肉な話、冗談じゃない。

けれど現実問題、当時の俺は中学二年生の真っ只中で、
転校するアテもツテもない。そうかと言って、学生としての本分をすべて投げ打って追いかけて行ったんじゃ、いろんな人たちに迷惑がかかる。そんなばかな真似はしようとも思わなかった。