まあ結論から言うと、そのとき電話機の向こう側にいたのは璃那本人ではなく璃那の声を真似た悠紀だったのだが。それが璃那にそっくりだったのと、あまりの嬉しさと懐かしさも手伝って、聞き分けがつかなかった。
思い返すと、いまでも顔から火が吹き出すほど恥ずかしい。
まさか電話機の向こうにいるのが悠紀だとは知らず璃那だと信じ込んだまま、俺は思い余って言ってしまったのだ。
「明日。十六夜月の夜に、あのとき話した場所で会えないかな」
ダメ元だったが、意外にも快いOKを得て内心舞い上がり、
「じゃあ明日の夜、芦別の駅前で」
と言って電話を切った。
病棟の屋上で璃那に話した俺のとっておきの場所で、やっと気付いた想いを告げようと、心に決めて。
そうして話は、丘へ向かう道中にアルテに語った昔話に繋がる。
アルテには頑(かたく)なに語らなかった俺の告白は、弱気ながらも直球だった。
「ルナ姉のことをずっと好きだった。いまでも。高望みかもしれないけど、僕と付き合ってくれませんか」
駅には悠紀や蒼依もやって来たのだが、悠紀たちが気を利かせてくれて二人きりになれたときに、思い切って切り出した。
璃那は真剣に聴いてくれたし、真剣に返事をしてくれた。
「ありがとう。わたしもトキくんのこと大好きだからすごく嬉しいよ。でもごめんなさい」



