最初のうちは、天候に邪魔されることもあった。けれど飛翔能力を蒼依から聞き習い、雲の上に行けるようになってからは、十三夜から十八夜くらいの間であれば連絡を取り合えるようになった。月の近くであればあるほどチカラの強さが増すことも、それでわかった。
しかしそんな日々は、唐突に終わりを告げた。
小学六年の夏。何の前触れも無く急に、月夜に璃那と連絡が取れなくなった。
俺はその時になって初めて、璃那の電話番号もアドレスも知らないことに気付いたんだ。
――ばかみたいな話だろ? 連絡を取りたくても取れなくなってしまってから、やっとわかったんだからな。
自分の中の、璃那の存在の大きさを。
何が原因かわからぬまま、音信不通な状態は、それから丸二年続いた。
そして中学二年の夏休み。その満月夜。
あの涼やかで凜とした声は〝遠隔テレパス〟とは別の形で俺の鼓膜を震わせた。
「兎季矢ぁ、電話だぞー」
「電話~? 誰から~?」
「何か知らんが、サトウさんって、女の子からだー」
階下から父親に呼び掛けられ、天文部の佐藤さんからの連絡かなと思いつつ、自分の部屋で電話を引き継ぐと。スピーカーから、待ち焦がれた声が聴こえた。



