ばかみたいな話だよ。

それがいつからだったのかは、わからない。

けれどはっきりそうだってわかったのは、連絡を取りたくても取れなくなってからだった。


退院してから璃那と連絡を取り合うようになるまでは、少し間があった。

退院してから次の満月の夜。それは唐突に、俺の鼓膜に響いた。

《こんばんはトキくん。久しぶりだね》
《え、ルナ姉?》
《んー? どういうことかな、それは? キミを『トキくん』って呼んでこんなふうにお話出来る女の子が、他にもいるのかな?》
《いない……と思うけど。でもどうして? もしかして、近くにいるの?》
《ううん、遠くにいるの。でもね、今夜なら、こういうことが出来るんだよ。名づけて〝遠隔テレパス〟》
《そのまんまなネーミングだね》
《むぅ。いいでしょ別に。どうせわたしは、蒼依みたいなセンスないもの》

お互いにチカラを扱える能力者同士であることは、病棟の屋上で知った。