「……何か、ものすごくピンポイントな能力ですね」

明らかに、俺の記憶治療に役立つチカラじゃないか。

「兎季矢くんの記憶が戻った理由、わかっちゃったわね。それだけ愛されてるってことじゃない?」

口の片端をつり上げて小悪魔っぽく笑い、そんなことを言う。

「勘弁してください」
「んふふー。やだ♪」

そうかと思えばこうやって、いたずら好きな子供みたいに振る舞うものだから、リアクションに困ってしまう。

こうなったら、無理やり話題を変えるついでだ。璃那にあのことを訊こう。

「そんなことより、璃那」
「ん? わたし?」
「そうだよ。璃那の方は戻ってるの? 俺との記憶」