「ああ。はい、それならわかります」
「ちょっと待って。じゃあアルテちゃんって――」
《 ちゃん付けもやめろ 》
すかさずアルテは抗議したが、またも華麗にスルーされた。ひょっとしたら悠紀や蒼依には、アルテの〝声〟が猫の鳴き声にしか聞こえていないのかもしれない。
ともかく。都が能力者で、アルテがその使い魔だということは。
「そう。アルテくんはみゃーこ先生がチカラで召喚した存在ってこと」
「召喚……」
となると、あの与太話も、俄然(がぜん)、信憑性(しんぴょうせい)を帯びてくる。
「そう言えばアルテ、俺様はアルトゥアミスの一族だ、なんて言ってたよね」
《 うむ、事実だ 》
思い出した璃那に、アルテは鷹揚(おうよう)にうなずく。毎度のことだが、なんでお前はいちいち偉そうなんだ。
「たぶん、半分は事実なんでしょうね。みゃーこ先生は昔からそういうの好きな人だったし」
「……確かに。ロマンの塊みたいな人ですからね……」
ロマンティストというなら俺も人のことを言えた義理ではないが、病棟の屋上で星見とか、光合成(という名の日光浴)とか、普通の人はまず思いつかないようなことを提案してくる人だった。風の噂によると、今でもそのまんまらしい。
「アルテが使い魔みたいなものってことは、コイツ自身にも何かしらの能力が?」
「みゃーこ先生が言うには、記憶障碍(きおくしょうがい)を抱えた人が記憶を取り戻す、その助けを促すチカラを持ってるんだそうよ」



