「でもみんな、アルテとは初めて会ったんですよね? 悠紀姉と蒼依にはまだちゃんと紹介してないけど、どの程度知ってるんですか?」
「わたしは全然知らなかったよ」
「あたしもあまりよくは知らないわ」

璃那と蒼依は都さんと接点が薄いだろうから、知らなくても無理はない。

「私は名前だけ知らなかったのよ。みゃーこ先生の付ける名前をことごとく嫌がってたみたいでね。診察に行く度に先生も『まだ決まってないのよー』って言ってたし」
「ことごとく、ですか」
「ええ、そうみたい」

どれだけ変な名前を付けていたのだろう。そういえば俺も、アルテがウチに住み着いて一年は経つのに、素性についてはまるで知らない。それどころか、知ろうともしなかった。

「じゃあ名前以外だと、どんなことを知ってますか?」
「んー……そうねたとえば、アルテくんが、ファミリアみたいな存在なんだってこととか」
《 アルテくん言うな 》
「ファミリア?」

残念ながら仔猫の文句は、馬の耳に吹いた東風のように悠紀の耳には届かなかったようで、華麗にスルーされた。

それはともかくファミリアって、アルトゥアミスよりは聞き覚えのある単語だけど……なんて意味だったか。

「聞いたことない? じゃあ、使い魔って言ったらわかる?」