「あ、悠紀姉、久しぶ……り?」
会話と視界に飛び込んできた悠紀の姿を見て、俺は言葉を失った。
「どうしてそこで絶句するの?」
「いや、どうしてもなにも……。仕事って、その恰好で?」
「そうだけど?」
何かおかしい? とばかりに小首を傾げた麻宮家の長女は、一体どこの神社から来たのかと思えるような緋袴(ひばかま)――俗に言う巫女服―――のような服装をしていた。
神主が祓(はら)い事に使う大麻(おおぬさ)らしきものを手にしているのはまだいいとして。
なぜ袴が鮮やかなほど紅(あか)く、ミニのプリーツスカート仕様なのか。
「変?」
「いえ。不思議と、変では無いです」
恰好は本当に変ではない。
むしろ、絵になるほど様になっている。
三姉妹の中で一番の長身とスタイルと、黒髪セミロングで常に無邪気な少女のような笑顔で絶やすことがない大人顔のおかげ……なのだろうか。
単に着こなし上手なだけか。
「璃那は、太平洋のど真ん中でお月見してたって言ってましたけど?」
「ええそうよ。だから、そういうお仕事だったの」
「嘘よ。お月見は明らかに趣味と実益を兼ねたプライベートだったわ」
俺がツッコミを入れるよりも早く、蒼依が真相をバラしてくれた。
「嘘だなんてひどいな蒼依ちゃん。半分はホントのことじゃない。お月見の前はちゃんとお仕事してたでしょ?」
「そうだけど。悠姉(ゆうねえ)は仕事場から直でって言ったじゃない。それはまるっきり嘘でしょ?」



