「天使の翼のイメージだから真っ白なのか」
「ご名答♪」
顔の横で一本指を立てて、笑う。
それを見た俺は一瞬で顔が火照ったのを感じ、直視に耐えきれず明後日の方を向き、咳払いをひとつして、話題を変えた。
「ところで、その蒼依と、悠紀姉(ゆうきねえ)はまだなの? それともまさか、来ない気とか?」
璃那が姉妹を連れて〝モメトラ〟を使ったのでもない限り、彼女たちが璃那より遅れて来るのは必然だ。
しかし、もしかしたら来ないという可能性も無くはない。そういう前例があっただけに、答えを二通り用意した。
しかし璃那は、心底意外そうな顔で三つ目の答えを口にした。
「あれ、気づいてなかったの? 二人ならもう着いてるよ」
「え」
「ほら」
微笑みながら言って指さしたのは、俺たちの斜め頭上。けどそこには月しか……
《はろー、兎季矢(ときや)くん♪》
《や。トキ、久しぶり》
居た。
それぞれのワンス・ウィングに腰掛けて、意図的に月を背負うように浮かび、こちらに向かって手を振っている。
逆光でシルエットや〝声〟の口調から判断するしかないが、《はろー》が悠紀で《や》が蒼依だ。
だけどお二人さん、いつからそこに?