「……あのさ、ひとつ訊いてもいいかな」
「うん、何かな」
ふてくされた様子のアルテを見て微笑んでいる璃那に声をかけると、アルテの喉をくすぐるのをやめてこちらを向いた。
それに合わせて、肩先までの髪がふわり、揺れる。
「ずっと気になっていたんだけど。その板は何?」
指ではなく、視線でそれを指す。
「板? ああ、これのこと?」
璃那が乗っている、サーフボードみたいな真っ白い板状の物体。
「箒の代わりだよ?」
悪戯(いたずら)っぽい笑みで、わかりきったことを言う。これは、わざとだな。
「それはわかる。俺が訊いてるのはそういうことじゃなくて――」
「これはね、出発前に蒼依が用意してきたんだよ。もう魔女が箒に乗って空を飛ぶ時代は終わったわ。とか言って」
「蒼依らしいな」
「本当にね」
本当は、自分が箒を操るのが下手だから代わりを用意したってところだろうが、アイツの名誉のために言わないでおこう。
「ちなみに名称は、ワンス・ウィング」
「ワンス・ウィング……片方の翼?」
「そう、天使の片翼だって」
「天使の? ――なるほど」
少し高度を上げて、真上から見る。
確かに、一般的なサーフボードの様な細長い楕円形ではなく、天使の翼の片一方のような形をしている。



