《 なるほど、そりゃ賢明な判断だな 》
「そうかな?」
《 ああ 》
補足するが、璃那と一緒にであれば、普通の人も転移出来る。能力者である必要はない。
そればかりか、璃那の目の届く範囲であれば、任意の物体を任意の場所に転移させることも出来る。
しかもその物体は、静止している必要はない。
「それからこれはトキくんから聞いてるかもしれないけど、〝声〟も含めて、わたしたちの持つチカラには元からの固有名詞がないんだ。わたしたちが出来ることは、物語に出てくる魔法や超能力で出来ることと似てはいるし、どちらかといえば魔法に近い。けれど厳密にはいろいろと違う。だから便宜上、魔法や超能力のそれとは違う呼び方を仮で付けているの。言ってること、わかるかな」
《 うむ。問題ない 》
「よかった」
生徒のくせに尊大にうなずくアルテを気にしたふうもなく、璃那先生は笑顔で講義を続けた。
「それからこのチカラの源は月の光。わたしたちの体内にはないの。だから決していつでもいつまでも無尽蔵に使えるわけじゃないんだ」
《 つまり、月光からの借り物で、制限や制約があるってことか 》
「ええ、そういうこと」
たとえば、いま俺たちが何気なくやってる空中浮遊や、ここに来るまでの空中飛行。
これらは、念動力を使える超能力者や魔法使いになら時間に関係なく出来るだろうが、俺たちには、満月当夜かその前後の夜にしか使えない。
それ以外だとせいぜい、地面すれすれの浮遊や飛翔が関の山だ。



