むーんりっと・りゆにおん(仮)



ここぞと狙ってボケを割り込ませたが、絶妙なハモりでひとりと一匹にツッコミを入れられた。

まさか口調まで合わせて来るとは思わなかった。

気が付けば、アルテはいつの間にか璃那の膝の上に移動している。

完全に孤立した俺は、しばらく黙っていることにした。

「そうじゃなくって、モメント・トランスファー。直訳すると『瞬間転移』って意味なんだけど、その略なんだよ」

《 そんな外国語あったか? 》

「無いよ。これも、蒼依の造語」

《 ルナの妹さんは、変わったセンスしてるな 》

「え? あははッ。そうかもね」

《 なんだ? なんかおかしなこと言ったか? 》

「ううん、いいよ。気にしなくて」

《 ? そうか、なら続けてくれ 》

自分がダジャレを言ったことにまるで気づいていないアルテに真面目に促された璃那は、ツボに入りかけた笑いをなんとかこらえ、咳払いをして講義を続けた。

「さっきわたし、一瞬でトキくんの間近に現れたでしょ? アレが〝モメトラ〟。見た目には超能力で言うところのテレポーテーションなんだけどね。それとは別物だし、わたしにしか使えないんだよ」

《 術者限定の能力か 》

「そういうわけじゃないんだけどね。個性が死ぬから教わらないわって、妹に言われちゃったからさ」