むーんりっと・りゆにおん(仮)



俗に言うテレパスとは、超能力の一種だ。

『サイコメトラー』や『サトリ』と呼ばれる、触れるだけで物の記憶を読み取ったり言葉を使わずに他者の心を読み取ったりする精神感応能力を持つ者のことを指す。

一方、俺たちの言う、そして俺たちが使う〝テレパス〟もそれらと似てはいるが、同一のものではない。

子供のころにそれを俺に教えてくれた璃那の推測は、半分正解だった。

「コイツが〝テレパス〟を使えるわけじゃないんだ」

「え、でも……」

《 俺様には難しいことはよくわからんが、このトキヤやアンタたちのチカラが、俺様の言葉を勝手に日本語にしてくれとるらしいぞ 》

俺の回答を理解出来ていない璃那を見かねてか、アルテがフォローしてくれた。

「わたしたちのチカラが?」

念のため、俺もフォローを入れる。

「実際の仕組みはもっと複雑で説明が面倒らしいけど、簡単に言えばそういうことだよ」

自分の近くにいる相手の思考を勝手に読み取るサトリや、触れた物や人の記憶を読み取るサイコメトラー。

彼らについて知っている人なら、〝テレパス〟のことを彼らの能力と同じように思うかもしれない。

だが〝テレパス〟は、相手の思考を読み取るというより、聴き取るのである。

それにサトリのように必ずしも相手の近くに居ないといけないわけでもなければ、サイコメトラーのように対象に触れる必要もない。

さらに、相手が普通の人ならば受信一辺倒だが、〝テレパス〟を使える同士であれば、お互いの思いを〝声〟として受け取り合うことで対話が出来る。

ちなみに『〝声〟』というのはウォークス、ラテン語でいう声のことだが、相手の思考を音声として受け取る俺たちの間では、いわゆる心の声のことを指す。