《 再会早々お取り込み中のところ悪いが、まだ初対面なのがここにいるのを忘れてくれるなよ? 》

「ああ悪い。そうだったな」

「びっくりした……いまの〝声〟、この仔猫ちゃんが?」

俺の傍らで呆れや不満を隠そうともしていない〝声〟の主を見て、璃那は瞳をまんまるくした。

「仔猫ちゃん……に見えるよな、やっぱ」

《 あっ、こら 》

苦笑いしながら、俺は灰銀色した小っちゃい塊(かたまり)の首根っこをつかんで、璃那の方へ向けた。

「ほれ、自己紹介しろ」

《 その前に、首から手を離せ 》

塊は、吊り下げられたままこちらを振り向いて抗議した。

「いいのか? ここから落ちたら、本当にカラスたちの餌になるぞ? イイ感じに細かく散らばって、食べやすくなること請け合いだ」

《 そんなことになったら化けて出てやる 》

「化け猫になるって? いまも似たよーなもんだろ」

《 いーからさっさと降ろせ。膝の上に置くとか、いろいろあるだろうが 》

「鳥かごの中に入れるとか?」