鳥かごをぶら下げた箒を肩に担いで丘を降り、芦別駅までの線路を歩いていた。
今はもう廃線になっている路線だが、線路の途切れは、芦別駅からまだかなり先の方にある。そこを歩いているうちに、夜が明けた。
それを見て、俺の数歩先を進むアルテが驚いた。
《 太陽がもう、山の稜線より高く浮かんでやがるぞ 》
「そりゃそうだろ。日の出の時刻はとっくに過ぎてるんだからな」
《 夜空から、部屋の照明をつけたみたいにパッと青空になったぞ 》
「朱海さんがそういう風にしていたんだろ」
《 何をどうすれば、そんなマネが出来るんだよ 》
「俺が知るか」
ルナたちとは、あのあとすぐに別れた。月没時間まではまだ間があったので、チカラを使って帰っていった。
ちなみに、彼女たちの去り方は。
《 中空に印を切った途端、人が光の粒子に包まれて消えていくとこなんて、俺様初めて見たぞ 》
「そうか。俺は二回目だな」
朱海さんが突然俺の部屋に現れたときの去り方も、あんな感じだった。
《 そうかよ。それより、一緒に行かなくてよかったのか? ずっと隣にいるって言ってたのに。
うぐ。
「良いんだよ、離れていても、心はいつもそばにいるから」
《 どの口がそれを言うんだ? 物理的な距離が離れると、心の距離も離れてくとかなんとか言ってたくせに 》
「うるせー」
悔しいが、我ながらその通りだと思う。



