《ああ。確かに決めつけていたし逃げてもいたと、今なら思うよ。ただ、どう考えても死別するのは不幸だ。だけど遅かれ早かれ誰だって経験することだし、それまで幸せでいられたかどうかで、意味は変わってくる》

「そうよ。なのにアンタは、それまで幸せでいられる時間から、尻尾を巻いて逃げた! 挙げ句の果てには、そんな腐った性根を叩きのめしてやろうとぶん投げたら、今なら自分でもそう思うですって? ふざけないでよ。ただでさえ人より残り少ない時間を、二年も無駄にしたくせにっ!!」

察するに、今日このときまでずっと抱え込んできたであろう堪(たま)りにたまった想いを吐き出すに連れて感極まったのか、最後にはきつく目をつむって力いっぱい吼(ほ)えた。

「蒼依ちゃん……」

「蒼依…………」

《 …………意外と可愛げあるじゃねーか 》

いつの間にか、悠紀たちも丘の上に来ていた。ルナの〝モメトラ〟でではなくそれぞれのワンス・ウィングで、蒼依の周りに降り立っていた。

それに気がつき、チカラの視線で射止められていた状態から解放された俺がまずしたことは。

「悪かった。本当にすまなかった」

三姉妹への、心の底からの謝罪だった。

「…………もういいから、顔上げてよ。そんなことして欲しくて言ったんじゃないんだから」

「だけど……」