璃那に誓った約束の年。その前年の暮れに俺は、火事で家と家族をいっぺんに失った。
そのことも約束を先延ばしにせざるを得なかったことと関係してはいる。しかしそれよりも深く関係しているのは、葬儀の場で初めて出会った男性、風貴さんの一言だった。
ルナたちには言うまでもないが、風貴さんは璃那たち三姉妹と親子であると同時に、世界的な大企業として名高い佐藤グループの最高責任者で。がっしりとした体格でありながらやさしい顔立ちをしていて、見るからに包容力のある切れ者だ。
《 トキヤとは真逆のタイプだな 》
ほっとけ。――自分と同じ、月の都の一族だった伴侶に先立たれて失意の渦中にあった璃那たちの母親・朱海(あけみ)さんと偶然出逢い、彼女を何かと励ましていたことから二人の間に恋が芽生え、やがて愛に変わり婚姻を結んだが、璃那の上京をきっかけに籍を別にした。
あとから聞いた話だが、この丘の観光開発を進めようとして、都市伝説まがいな妨害に遭ったのは彼のグループ傘下の建設会社だったらしい。
《 都市伝説まがい? 》
無人の重機が、いや。無人の重機で、作業員たちを襲ったんだ。
《 大掛かりなポルターガイスト現象だな。しかし、誰がそんなことを? 》
それについてはノーコメントだ。
《 てことは、誰の仕業か知ってるんだな 》
ノーコメントだ。
「少なくとも、わたしたち三人には、無理だよ?」
《 ミヤコだってそうだ。てことは…… 》



