不審だった点を心持ち強調して言うと、ルナは観念したようにかぶりを振って、ため息混じりにそう言ったが、満足そうな顔をしていた。
「記憶を取り戻すまで、ずっと忘れていたけどね。――なあ蒼依? 確か〝モメトラ〟は、視界内であれば、任意の物体を任意の場所に瞬間転移することも出来るんだよな? そしてその物体は、静止している必要は無い」
自分の推理の証人――というわけではないが、ルナではなく、四人の中で一番チカラについて詳しい人物に確認した。
「ええ、その通りよ」
「なら、それらのことを合わせて出てくる答えはひとつだ。だけど確証がなかった」
《 待てよ。それはどういうことだ? 》
ここで、意外な〝声〟があがった。
「此処(ここ)でわたしに会えて、わたしの記憶が戻っていたなら、その確証が得られる。トキくんはきっと、そう考えていたんだよ」
アルテの乱入は、俺にとっては予想外でも、ルナにとってはそうではなかったようだ。特に動じる様子もなく、冷静に俺の思考を読んで、アルテに言って聞かせていた。
《 それくらいは俺様にもわかる。これでも一年間、ずっとトキヤを見てきたんだからな。わからねえのはルナ、アンタの方だ。そんなばかげたことが事実なのか? 》
「ばかげてるかな」
《 ばかげてるだろ。今までの話を全部合わせると。
当時アンタは、トキヤを追って駆けてきて。
近く走っていたバイクを〝モメトラ〟でライダーごと自分がいる車線に呼び寄せて、そのまま自分に向って来させた。
ってことになる。つまりは“事故の自作自演を図った”んだろ? 自分の命を懸けてまでそんなことするなんて、ばかげてるにもほどがあるだろうよ 》



