むーんりっと・りゆにおん(仮)



「トキくんは、今夜の再会を企画したのは悠紀姉さんだと思ってる?」
「は?」

思ってもみなかった質問が飛んで来て、思わず変な声をあげてしまった。

普通に考えれば、訊かれるまでもなく企画者は、昨日、璃那の声を真似て俺に電話してきた悠紀だ。しかし……

「違うの?」
「ええそう。この再会を企画したのは悠紀姉さんじゃなくてわたし。正確には、璃那本人。トキくんの記憶が戻るのを、ずっと待っていたんだよ」
「そうか……」

その可能性を考えないわけではなかった。しかしそれは言わず、代わりに浮かんだ疑問を口にした。

「でもどうやって、俺の記憶が戻ったのを知ったの?」

昨夜の電話は、あまりにもタイミングが良過ぎた。

「それは簡単だよ。璃那とわたしの主治医は、都先生なんだもの」
「……そうか。都さんは、アルテの主人(マスター)だ。主人は、自分の使い魔と感覚を共有出来る。つまり都さんは、アルテを通して俺の経過観察をしていたってこと?」
「そうね。そしてその結果を、ルナ姉さんに伝えてたのよ」
「そうだったのか……」

あれは偶然だったんじゃなく、確認の意味での電話だったということか。
悠紀が璃那の声を真似て電話を掛けてきたのは、俺との記憶が抜けた人格の璃那の存在を隠すためでもあったと。

「じゃあ本当はアルテのことも、前から知っていたの?」
「都先生から聞いて、存在だけはね。会ったのは、今夜が初めてだよ」