「なになに? 喧嘩??」



怒鳴る私を見て笑いながら近寄ってきた人は、またしても矢神くんだった。



コイツ絶対、『人の不幸で飯がうまい』とか思ってる人間だ。




桐谷くんは矢神くんを無視して、


「ねえ、相沢。俺達は付き合ってんだぞ? 付き合ってるっていう事は、俺は相沢と何してもいい権利があるワケ」


と上から目線で、物申し始めた。



な、なにそれ……



付き合ってるからって、何しても良いはずないよ!!



それに、色んな女を取っ替え引っ替えしてきたクセに、未だに何もしたことがない桐谷くんの言葉は、全然物申せていない故に、ただの願望にしか聞こえない。





「でも、いずれ………それに、桐谷くんは………」




――弥生と付き合うんでしょ?



そう言いたいのに、聞きたいのに、認められたらどうしようと、妄想だけが先走って言葉が出てこない。