欲求には勝てず、


「ご馳走になります!」


と頭を下げてお礼を言うと、桐谷くんは柔らかく笑った。



………その笑顔に少しドキッ、としたり。



桐谷くんはすぐに『じゃあ、買い出し行ってくるから』と財布一つで出掛けてしまった。




どうしよう、ついてけば良かったかな。
でも「勉強しろ」って言われそうだしな……




悶々と教科書を眺めていると、


「兄貴が彼女に手料理振る舞うの、初めてなんだけど」



………ん?


………え??



舞ちゃんの言葉に耳を疑う。