「桐谷くん、私このまま帰るね!」
『本当に楽しかった! お邪魔しました』とお礼を言うと、桐谷くんはそっと私の荷物を持ってくれた。
「送ってく」
「えっ、いいよ!! 時間も遅いし!! 舞ちゃんのご飯、作らなきゃでしょ??」
「大丈夫。舞は友達の家で食べてくるって連絡きたから」
『だから手、繋いで帰ろう』と言わんばかりに、私にそっと手を差し出してきた。
「またスキップでもしてみる??」
なんて冗談言ってみたけど、桐谷くんの表情は少し暗いままで。
そんな表情されたら私も少し心配だ。
″離れたくない″って思ってくれてるのかな……なんて。
『だったらいいな』と、何も知らない私は……一人で浮かれていた。



