私は女優なのだ、こんなこと、きっと日常茶飯事なのだ。


わけも分からないことで自分を納得させ、涙をぐしぐしと拭いていると、


「カンナ!」


廊下のあちら側からパタパタと走りよってきたのは、プロデューサー兼マネージャーの佐伯さんだ。


「さっ...えき...さっ......!」


安堵からか、まだ鮮明に残る恐怖からか。


更に涙腺は緩み、私はまるでオバケの様なのだろうな、と思った。