「私ね……。片耳しか聞こえないの……。」

「え……?」

予想通り奏多君は驚いた顔をした。

「片耳って言うのも中途半端で嫌なときもあったけど、でもこの世界から音が無くなるのはもっと耐えら

れなかった。」

私は、唇を噛み締め私の気持ちをぶつけた。

「私は、ずっと自分を恨んでた。みんなは普通に聞こえるのに私だけは違う。でもね……。お父さんは

言ってくれたの『この世界に生まれたからには悔いのない生き方をする』って!」

私は、奏多君の目を真っすぐ見ていった。

「奏多君は悔いのない生き方をした?」

「………!」

奏多君は、下をうつ向いた。

「今更俺は……。そんなこと言う資格なんて……!」

「これから生きるのは君!この世界をどう生きるのかを決めるのも君だよ!」

奏多君は、顔を上げ私の顔を見た。