「俺な、手術するためにアメリカに行くんだ!」

「え?」

私は、奏多君の顔を見た。

「俺な、小さい頃から難しい病気にかかってて学校にほとんど行けなかったんだ・・・。鈴にも迷惑かけ

て・・・。情けないお兄ちゃんだよな!」

そう言い笑顔で笑う奏多君だったが、私には少し強がってるように見えた。

「でも・・・。その手術を受けて必ず治るものなのかも分からない・・・。そう不安がってた時に如月の

歌を聞いたんだ。」

奏多君は、手を空いっぱいに大きく手を広げた。

「俺が鈴を見失って探してるときに如月の歌を聞いて心を動かされたんだ。君は、『どこまでだって行け

る』そう言われたような気がしたんだ。」

私は、奏多君の手が震えていることに気づき、まるで私の耳が聞こえないことと同じ位悩んでいたん

だ。

『この世界に生まれたからには、悔いのない生き方をする』

私は、奏多君の前に立ち笑顔で微笑んで言った。