昨日は、まるで夢でも見てたんじゃないかってくらい、いいことがたくさんあった。
環くんと咲間さんのおかげで、恐怖心が少し小さくなった気がする。
朝食を食べ終え、学校へ向かう。
昨日いいことがあったってお構いなしに、外に出ればいつもどおり白い目がつきまとう。
噂は完全になくなりはしない。
周りの視線が気にならなくなったわけでもない。
他の人にとって、今日は、昨日までと同じ日常だろう。
でも、わたしの今日は、昨日とは大きく変わっている。
学校に着いて、教室に入る。
静まり返ったが、悪意を含んだヒソヒソ話は聞こえてこない。
「おはよっ、矢崎さん!」
咲間さんがわざわざわたしの席まで来て、挨拶してくれた。
よかった、夢じゃなかった。
「おはよう、咲間さん」