咲間さんも、怖かったと思う。



みんなと違うことをするのは、勇気がいる。


それでも、わたしのために行動を起こしてくれた。


咲間さんなりの頑張り方で。



ありがとう、咲間さん。





「あの、咲間さん」



グッ、と拳を握る。


空気を吸い込みながら、思い切って言った。



「もしよければ友達になってくれませんか?」



最後のほう声が裏返ったし、早口になっちゃったし、いろいろと台無しになっちゃった気がするけど……。


咲間さんと、友達になりたい。




一瞬驚く素振りを見せた咲間さんは、ゆっくりと口元をゆるめていった。



「もちろん!あたしも、矢崎さんと友達になりたいなって思ってたんだ」


よろしくね、と左手を差し出される。



……左手、か。


わたしはためらわずに、左手を咲間さんの手に重ねた。



「うん、よろしく!」