避けられて辛い思いをしたことは、簡単に忘れられない。
けれど。
「って、こんなの言い訳でしかないよね。本当にごめん!」
けれど、咲間さんは、事実をなかったことにせずにきちんと抱えて、誠心誠意謝ってくれた。
その真っ直ぐな心は、わたしの元に確かに届いてる。
戻ってきてよかった。
踏み出してよかった。
枯れ果てるまで泣いて、よかった。
雨が降ったあと、必ず空には虹がかかるように、素敵なことが待っていた。
「それと、遅くなっちゃったけど……昨日は守ってくれてありがとう」
咲間さんは、頭を下げ続けたまま。
「顔を上げて、咲間さん」
そう言うと、咲間さんはおずおずと頭を上げた。
ありがとうは、こっちのセリフだよ。
「わたしのほうこそ、ありがとう」
「な、んで矢崎さんが……?」
「さっきクラスのみんなに訴えかけてくれてたよね。本当に嬉しかった」



