わたしの名前は、矢崎 莉子【ヤザキ リコ】。
中学三年生に進級したばかりの、十五歳。
事情があって、今年の春……というか二週間前から、父方の祖父母の家にお世話になっている。
学校もこっちに転校してきて、環境が一変して、セーラーからブレザーになって。
わたしの生活はガラリと変わった。
祖父母の家には長期休みのたびによく来ていたけど、ここで過ごすとなると、やっぱり全然違う。
「おじいちゃんもおはよう」
「おはよう」
ちゃぶ台の前に座りながら、新聞を読んでいるおじいちゃんにも挨拶をした。
よく笑うおばあちゃんと、無口なおじいちゃん。
二人とも、幼いころからわたしのことを大切に思ってくれていた、温かい人たち。
今でも、こんなわたしを大切に思ってくれている、優しい人たち。
わたしはそんな二人のことが、大好きだ。



