「今ここにいるのは、俺と矢崎さんの二人だけ」 皆瀬くんの右手が、わたしの左手を先ほどより強く包み込む。 青い空と桜の木をバックに、二人の視線が真っ直ぐ絡み合う。 「だから、大丈夫だよ」 そんな、優しいことを言われたら。 泣いてしまう。 「怖がらなくていい」 「……っ」 「泣いてもいいんだよ」 「……泣いて、いいの?」 「ああ」 本当は、限界だった。 今までずっと我慢してきた涙が、一気にあふれて。 大粒の涙がぽろっ、とあっけなくこぼれ落ちた。 視界がぼやけて、桜さえまともに見えない。